三人吉三廓初買さんにんきちさくるわのはつがい

              河竹黙阿弥かわたけもくあみ


つきおぼろに 白魚しらうお

かがりかすむ 春の空

冷てえ風も ほろよい

心持こころもちよく うかうかと

浮かれがらすの 只一羽ただいちわ

ねぐらへ帰る 川端かわばた

さおしずくか 濡手ぬれてあわ

思いがなく 手にる百両

ほんに今夜は 節分せつぶん

西の海より 川の中

落ちた夜鷹よたかは 厄落やくおと

豆沢山まめだくさんに 一文いちもん

ぜにと違って 金包かねづつ

こいつぁ春から 縁起えんぎがいいわえ


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